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 こわいはなし

 かがみ(mirror)


 めるとあさでした。

 そとは、もう、あかるくなっていました。

 わたしは、ベッドのうえよこになったまま、まどそとていました。


 奇妙きみょう気分きぶんでした。

奇妙きみょうな:strange)

 あかるい太陽たいようひかりなかにいても、あたたかいとかんじません。

 しかし、けっして、さむいわけでもありません。

 あつくもさむくもないのです。


 まるで、自分じぶんからだが、自分じぶんからだではないような気分きぶんでした。

 奇妙きみょう気分きぶんでした


 からだ調子ちょうしわるいのだろうか、とわたしおもいました。

 もしかすると、風邪かぜをひいたのかもしれない、とおもいました。


 わたしは、がり、部屋へやなか見回みまわしました。

 やはり、なにか、奇妙きみょう気分きぶんでした。

 なぜか、そこは、自分じぶん部屋へやではないようながしたのです。


 わたしは、つくえうえかがみました。

 自分じぶんかおかがみました。


 わたしは、おもしました。

 ああ、そうだった……


 わたしは、毎朝まいあさおなじことをおもすのです。

 ああ、そうだった……


 今日きょうも、それをおもしました。

 かがみて、おもしました。


 かがみに、わたしうつっていません。

うつる:to be reflected)

 かがみうつっているのは、うしろの本棚ほんだなだけです。


 ああ、そうだった……

 今朝けさも、また、わすれていた……

 わたしは、もうんだんだ……

 わたしは、もうんでいるんだ……


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