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 転校てんこう(changing schools)


 それは、もう十年じゅうねん以上いじょうまえのことだ。

 しかし、いまでも、ぼくは、そのことをおもす。

おもす:to remember)


 彼女かのじょは、となりいえんでいた。

 ぼくよりも、ひと年上としうえだった。

年上としうえ:older)

 いえちかかったので、子供こどものころから、よく一緒いっしょあそんでいた。

 ぼく彼女かのじょは、とてもなか友達ともだちだった。

なか友達ともだち:a close friend)


 小学校しょうがっこう中学校ちゅうがっこうおな学校がっこうだった。

 だから、一緒いっしょ学校がっこうった。

 かえりにも、みちうと、一緒いっしょかえった。

 ぼくは、彼女かのじょのことを、ずっと友達ともだちだとおもっていた。



 中学ちゅうがく二年にねんのある学校がっこうからのかえろうとすると、学校がっこうもんのところに彼女かのじょがいた。

もん:gate)

 彼女かのじょぼくっていた。


 ぼくたちは、しばらく、一緒いっしょに、あるいた。

 すると、彼女かのじょは、った。

「こうやって一緒いっしょかえるのは、今日きょう最後さいごなの」

「どうして? なにかあったの?」

「あのね、わたしすの。

す:to move (house)

 だから、学校がっこうわるの」

「そうなんだ。どこへくの?」


 彼女かのじょは、ぼく質問しつもんこたえなかった。

「この学校がっこうくのは、今日きょう最後さいごなの」

 そううと、彼女かのじょまった。

 そして、ぼくきしめた。

きしめる:to hug)


 ぼくは、びっくりした。

 ぼくは、しばらく、彼女かのじょのやわらかいからだかんじていた。

かんじる:to feel)

 それから、彼女かのじょは「さよなら」とって、はしってかえってった。

 その彼女かのじょうことはなかった。


 ぼくは、彼女かのじょのことを、ずっと友達ともだちだとおもっていた。

 しかし、ちがっていたのかもしれない。

 彼女かのじょは、ぼくに、それ以上いじょう気持きもちをっていたのかもしれない。

 いや、ぼくも、彼女かのじょに、友達ともだち以上いじょう気持きもちをっていたのかもしれない。

 ぼくは、彼女かのじょきだったのかもしれない。


 それは、もう十年じゅうねん以上いじょうまえのことだ。

 でも、ぼくは、そのときのことをおもす。

 そして、彼女かのじょいまどこにいるのだろう、とおもう。



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